大判例

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東京高等裁判所 昭和52年(う)53号 判決

被告人 佐藤忠義

〔抄 録〕

所論は、原裁判所は、当初本件各訴因につき簡易公判手続により審理する旨決定し、これに基づき証拠調べを行なったが、被告人は原審第四回公判期日において本件各訴因のうち、横領、住居侵入の訴因を否認して争ったのであるから、右両訴因については、簡易公判手続によって審判することが相当でないものであるとして、右決定を取り消したうえ、公判手続を更新して、通常の公判手続によって審理すべきであったのに、右決定を取り消すことなく、そのまま簡易公判手続によって審理、判決をした原裁判所の措置には、判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があるというのである。たしかに本件記録によれば、原裁判所が当初本件各訴因について簡易公判手続によって審理する旨の決定をしたこと、被告人が原審第四回公判期日において前記両訴因につき、それまでの有罪の陳述をひるがえし、自己の刑事責任を否定する趣旨の陳述をしていることが認められ、このことは所論が指摘するとおりであるが、被告人の右否認の陳述は、前記両訴因に関する証拠調べがほぼ終了した段階で、突如なされたものであり、それまでに取り調べられた横領、住居侵入の証拠と対比すると、とうてい信用することができないものであって、被告人の当初の有罪の陳述のほうが真実であることが明白であるから、前記否認の陳述があったとしても、前記両訴因について簡易公判手続によることが相当でないとはいえないので、原裁判所が簡易公判手続によって審判する旨の決定を取り消さず、右手続によって審理を進めたことは相当であり、所論のような訴訟手続の法令違反は認められない。論旨は理由がない。

(小松 山崎 鈴木)

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